「貸せよ」
その真っ赤な手から雑巾を奪い取り、絞ってやると真っ赤な顔をして微笑んだ。
・・・なんだよ、そんな顔すんなよな。可愛いし。
「えへへ、やっぱり優しいね。」
そう捨て台詞をはくとバケツを持って「ありがとう」と言って走って行った。
・・・やっぱり??
俺のこと知ってんのか??
・・・別に優しくねーけど。今は何故か勝手に動いただけだし・・・普段こんな事絶対やんねーし・・・
“ゆっ柚木くん!?”
俺が声かけた時のあいつの顔、すっげー目でかくしてたし。
・・・フッなんでどもってたんだよ。
だけど、あいつが俺の名前を呼んだだけで、俺は何故か満たされた気持ちになったんだ。

