無口なDarling



気づけば、回りの女とも連絡も取っていなかった。



気づけば、澄子の事気になってた。




「は・・ダッセー。みかんに似た奴に負けたのか?」


負けたも何も・・・俺、何もしてねーけど。



自嘲の笑みをこぼして、屋上を後にする。



すると屋上へ続く階段の下にある水道で何かをしている澄子の姿を発見した。




・・・最後に



みかん野郎との邪魔はしねーからさ。




「・・・何やってんだ?」





最後に・・・




少しだけ、その綺麗な声に触れてもいいか?




「ゆ・・・柚木くん・・!?」



・・・俺の名前知ってんだ。ちょっと嬉しかったり。



大きな目を更に大きくしてる澄子。その手元を見ると雑巾を洗っていた。



「・・・あ」


俺の視線に気づいたのか、俺からの質問を思い出したのか喋りだした。


「あっあのね!・・・私美化委員だから掃除してるの!」



あー。そういえば賢も美化委員か。・・・だけどあいつ掃除なんてしてる所見てねーぞ?



「それ、皆やってんのか?」



「えっと・・・一応ね、当番なんだけど・・・皆やってないけどね!でも。ほら!やらないと、ね」



こいつのこーゆートコ、偉いよな。



こいつの性格なんてまだ全然知らねーけどさ。ここ何日か喋ってんの聞いてただけで優しいやつなんだなって分かったよ。




みると、冷たい水で雑巾を絞ったからか綺麗な手は真っ赤になっていた。



腕力なさそうだから絞るのも大変そうだな。