無口なDarling



猛がいきなりキスの途中で何かを思い出したように部屋を出て行ってしまった。



・・・正直物足りなかった。


「早く戻ってきて・・・」



スッと唇を指でなぞる。・・・今まで猛の唇と重なってた。



ガチャとドアが開くと同時に電気が消えた。


「えっ?」


突然のことにびっくりして、思わずベッドのシーツを握り締める。



猛の部屋は、窓が少ないしブラインドを下げると夕方位でもすごく暗くなる。



猛はいつも私といるときはブラインドを下げているからすごい真っ暗。下げないと向かい側の家から見えちゃうんだって。




「何??猛だよね?暗い・・」



いきなりの出来事に少し慌てていると、テーブルに何かを置いてから猛が私を抱きしめた。



・・・なんかちょっといい匂い・・・甘い匂い??



猛は自分のポケットからライターを取り出すとテーブルの何かに近づいた。



「澄子・・・こっち来いよ」



ベッドから少し離れたテーブルの方から呼ばれ、はいはいをしながら猛に近づく。



「あっ」



近づいたら分かっちゃった。




白くて、大きくて。



甘くて美味しい・・・



「ケーキ・・・だぁ」