「あ・・・はい」



戸惑いつつも
矢野先輩の隣に座るあたし。


周りの男子がざわつく。


「矢野先輩ー!

柳原と
付き合ってるんですかー?」


一人の男子がそう聞くと、

矢野先輩は。



「・・・うるせー。


柳原が嫌な気持ちになるだろ。


そーゆうの考えろよ」


冷たい口調で
皆に言った矢野先輩。



皆は黙り込んだ。



「悪いな、柳原。


嫌な気持ちにさせちまって・・」


「ううん・・・大丈夫です」


下を向くあたし。


矢野先輩って
優しいな・・・。



変な噂が流れて
嫌な気持ちになるの
分かってくれた。



長瀬先輩・・・。



長瀬先輩は
どう思ってるのかな・・?



やっぱり
山崎さんがいるから
なんとも思ってないのかな?



考えるの辞めよう・・・。



「これ食べる?」



ポッキーをあたしに
わたす矢野先輩。


「あ・・はい」


「・・普通でいーよ。


昨日のは
いつでもいいから」



矢野先輩は優しく笑う。



「・・・・」



長瀬先輩は
窓の外を見つめる。


『そんなこと言ってると

大地にとられるよ?』



「・・・分かってるよ。


けど、親友だぜ?


言いたくても言えねーよ」



小さく呟く長瀬先輩。



そう・・・この合宿で
あたし達の物語は
加速していった。


そして。


あたしが
二人の誰かを選ぶ選択も


迫ってきた。