「やっぱり!!
あたし、矢野先輩に
憧れて入って来たんです!!

会えてよかった♪」


可愛く笑う空。

それを見た長瀬先輩は、


・・・ちくん。


胸の奥の方に、
何かが刺さった痛みがはしった。


(・・・?なんだ?今の・・)


「なんかよく分かんねーけど、

よろしくな」


矢野先輩は
空に手を差し延べて、
そう言った。


すると空は。


「は・・恥ずかしいです」


頬を赤くして、下を向く。


・・・ドキッ


((・・・なんだ今の・・・))


「あ・・これから
お世話になります!!」


頭を下げる空。


「いーよ。別に」


「・・・!

ありがとうございます!」


満面の笑顔で笑う空。



(もしかして・・・

こいつ、大地のこと・・・)


・・・ズキンッ



(まただ・・・
胸が締め付けられる
みたいに痛い)


(こいつ・・・笑うと、
すごく可愛いな・・・


こんな気持ち初めてだ。)


二人は互いに
自分の気持ちに気づきはじめた。



((そうか・・・



俺、こいつのこと


好きになったんだ・・・))




それが3人の物語の始まり。



・・・現在。



「大地、お前。

6年の頃、柳原の事フったろ。


なんでだよ?」


真剣な表情で
矢野先輩を見る長瀬先輩。


「・・・誤解だよ」


「・・・?」


矢野先輩は小さく呟いた。


長瀬先輩は矢野先輩の
言葉の意味が分からなかった。



すると。



衝撃な一言が、
矢野先輩の口からでてきた。



「俺は確かに言ったけど、

それは次の日、
大事な試合があったから


まだ返事はできないって
意味で言っただけ。


だから別にフったわけじゃない」



「それじゃあ・・」



「俺は柳原の事、

フってねーよ」



誤解が誤解を招き、
あたし達はすれ違う。