あたしから離れると「バーカ、バーカ、バカまー子♪」って歌いながら自分の椅子の方に行った。 そんな楽しそうな桐沢社長…… ……でも後ろ姿はどこか悲しそうだった。 ……あたしはいつになったら桐沢社長の本当の姿を見ることができるんだろう。 たしかに近づいているあたしたちの心の距離。 だけど……たまに見る悲しそうな桐沢社長の顔は…… まったく知らない別人みたいなんだ……。 あたしはゆっくり体を起こして、手鏡で首もとを見た。 「……なんですか!?これー!!」 あたしは社長室で叫んだ。