涙が愛しさに変わるまで



「やっぱこういうキスに慣れてないんだね?」



自分の唇を親指でなぞる桐沢社長は、凄く色っぽくて……



やっぱりあたしはまだまだ子供なんだって思う。



20歳すぎてるんだけどな……



「か……からかわないでください!」



もう……なんであたしはこんなにも強がりなの?



こんなときに可愛い台詞とか言えたらいいのに。



「まーたツンデレになっちゃって〜。さっきの可愛い声はどうしたのー?」



頬がどんどん赤くなっていくのがわかった。



どうしよ!早くおさまってよ……。



あたしがそう思ってると、仕事用の薄いファイルを顔に投げ付けられた。