涙が愛しさに変わるまで



「だって、元々はあたしのお父さんの会社だよ?誠のお仕事っぷり見に来てなにが悪いの?」



確信持ったよ……。



「……桐沢社長の奥様…ですか?」



あたしは横から言った。



夏羽さんは目を丸くした後、にっこり微笑んだ。



「ははっ!奥様なんてそんな年齢でもないけど一応、誠の妻です。」



あぁ……やっぱり。



あたしはそう思った。



目にはもう涙がたまってる。



「もしかして……真依ちゃん?あたしのお父さんがよくいい子だって言ってたから!」



あたしは涙をこらえて、明るく笑顔を作った。



あたしの反応を見て、夏羽さん……いや。桐沢社長の奥さんは満足そうに笑った。



「コーヒー。二つぶん持ってきて」



あたしは下を向いて、小さく返事をした。