涙が愛しさに変わるまで



桐沢社長は、あたしをドアから見えないように隠してくれた。



「顔真っ赤〜。そんなんだとキスしたのばれるから隠れとけ。」



あたしはうなずいた。



それから一度咳ばらいをして、桐沢社長は「はい。」と言ってドアを開けた。


あたしはドアは開いたのに、桐沢社長の背がおっきくて見えなかった。



何秒かして聞こえたのは……



「誠?ちゃーんとお仕事頑張ってる?」



「……夏羽」



あたしがひょこっと横からのぞいて見ると、あたしよりも少し背の高い女の人がいた。



綺麗で……細くて……



……手を見た瞬間わかった。



桐沢社長と……同じ指輪。



「夏羽!なんでここに来てんだよ!」



この人は夏羽(ナツハ)さんって言うのか……