でも……恥ずかしくて言えるわけないよ。
あたしは恥ずかしくて、右側に顔をそむけた。
「まー子?」
桐沢社長があたしを呼ぶ。
「……真依。俺のこと見ろよ」
甘くかすれた声で名前を呼ばれた。
そんな声で呼ばないでよ……。
「……っして」
「ん?なに?聞こえないなぁ」
もうあなたの言うことにはさからえない。
意地悪なあなたはあたしをからかって反応をおもしろがってる。
わかってる……わかってるの。
でも……もう……
「キス……してくださいっ……」
あたしが言うと桐沢社長はクスッと笑った。
「よく言えました。」
桐沢社長はあたしの唇に自分の唇を優しく重ねた。



