涙が愛しさに変わるまで



「ていうかまー子、俺はもう“桐沢”じゃない。俺の元の名字は“飯島”。」



あたしはキョトンとした。


だっていきなり“飯島”だなんて言われても、ピンとこないなぁ。



「じゃあ、飯島社長。……飯島誠。ふふふっ」



「……なにがおかしいんだよ。」



「だって!いいじ『ま』『ま』こと。なんですよ?言いにくいな~と思って!」


あたしがキャハハとはしゃぐように笑ってると、飯島社長に睨まれた。



「笑うな!バカまー子!」


そんなふうに言う飯島社長がなんだか可愛くて、あたしはもっと笑ってしまった。



「人のこと言えねーだろ。おまえだって、いいじ『ま』『ま』いになるじゃねぇか。」