涙が愛しさに変わるまで



「でも……会社は?桐沢社長のご家族の会社も!」



「……そっか。知ってたんだな。」



桐沢社長は一瞬驚いた表情をしてから、また優しく笑った。



「会社は辞めた。でも大丈夫。今は親父の会社を俺が、新しく立ち上げたんだ。」



「じゃあ、ご家族は大丈夫なんですね。」



あたしが身を乗り出して聞くと、桐沢はクスクス笑った。



「あぁ。俺もあの会社の秘密くらい一つや二つあるんでね。」



あたしは涙と笑顔がまじって、顔がひどいことになってたと思う。



「よかったぁ!……本当によかったぁ!」



そんなあたしを見てまたクスクス笑う桐沢社長。