「俺はさ、桐沢社長の代わりになりたかったんだ。」 「桐沢社長の……?」 「だけどね、真依を本当に笑顔にさせられる人は桐沢社長本人しかいないんだ。」 あたしは亮の言葉を聞いて静かに頷いた。 亮の言う通りだと思った。 本当に笑っていられるのは桐沢社長だけなのかもしれないって……。 「じゃあ、真依。真依にいいこと教えてあげる。」 「……なに?」 「桐沢社長はね……もう前の会社にはいないよ。」 「え……じゃあどこに?」 あたしが聞くと亮は困った顔をした。