「ね?真依ちゃん?」 あたしは怖くなってきて、手が震え始めた。 もう桐沢社長には会えない。 もう……まー子って呼んでもらえなあいんだ。 あの甘くかすれたような声で……名前呼んでもらえないんだ。 「真依ちゃん?」 「……や」 「なぁに?」 声が出ない。 苦しくて、泣きそうになる。 「辞め……辞めっ、ます……」 言った後、すぐに後悔した。 もう言ってしまった。 あたしの前では思い通りになってクスクス笑う夏羽さん。