〜Side 姜〜


お姫様抱っこされて連れて来られた場所は特別棟の裏庭。


もともと、特別棟なんて滅多に来ないので裏庭があるなんて知らなかった。



しかし本題に入られたことでビクッと肩を震わす。


それに気づいてか頭を優しく撫でてくれる榛。


あたしは安心して…この人…榛なら信用しても大丈夫、と心のどこかで思った。


榛の肩に頭を寄せた。


あたしがここまで素直になるなんて…珍しい。


自分のことなのに何故か他人事のように見て、客観的に見ている。



でも信用したとはいえ、いきなりこんなことを話すのはどうかと思い言うのに躊躇っていると


「無理に話さなくていい。 話せるようになるまで言わなくていいから。 あ、無理して笑うことだけはやめろよ? 逆に心配になるからな」


と言ってくれた。


久々に人の優しさ…人情に触れた気がする。


ありがとう…。



今できる最上級の笑顔を榛に向けた。


それは…


自分でも気づかない…


本当に分からなかった…


嘘の笑顔だったんだ━━━。