プレーン

空振りの口の動きのあとに、
僕の名前が付いて来る。


打ち所の不運さで、
僕の体が参ったのかと思ったが、

深刻なのは、彼女の方だった。


まるで命の無い人形のような、

それでいて人らしい途方に暮れた目で、
こころは僕を見つめている。


藪の中の女と言う場面の割りに、
恐怖を感じないのはこの、

"寸劇"の為だろう。


僕は急激に、追う事に醒めた。
不本意な結末。

しかしようやく、
これで終わりが見えてきた気がする。

引っ掻き回されるのは、もうこれで最後になるだろう。

明日には僕の現実が控えている。

こんな虚構のような女に、掻き乱された所で何もならない。