しかし諦め切れずに僕は、 いちるの望みに掛けて、こころの姿を探した。 見つけた、彼女を。 ここからだと、手を伸ばせば届きそうな距離に居る。 藪の囲いで薄暗く、 こころの表情はうまく読めないが、 なにかしらの感情を躊躇しているふうにも見える。 それはこの状況において、とても大きな収穫だ。 「手を貸してくれないかな、こころ。」 言葉と同時に、風が藪を揺らめかせた。 わずかな夕焼けの残り火が、 こころの唇を赤く塗る。 「――ナツメ君。」 「――ナツメ君。」