雑誌やテレビと言う世界の外の話じゃなくて、もっと身近な、 それもつい最近にだって見た記憶があった。 「早くしてってば、ほら!」 もう姿を半分も藪の中に隠したこころが、 押さえがちに僕へげきを飛ばす。 その雰囲気から僕は、あるちぐはぐな物を感じた。 こころ自身が、自分の起こす不躾な行動に、 戸惑うように見えたからだ。 これは希望かもしれないが、 今こそささやかな夢を見てもいい。 僕は自分の、 かつて見た事も無い役者魂を信じた、 そして。