肉と衣が揚がったいい匂い。

少しだけ赤い、
惣菜屋ののぼりが地面の方へ垂れている。

店主と客のやり取り。

居酒屋の玄関口がやれやれと開く動き。


何かが無造作に詰め込まれている、
買い物袋と茶色い鞄。


今日二度目の朝が街に来た。

夕日が空を焼きながら下って行く。



うまそうな匂い。

その匂いは僕に幸せを思い出させる。

やがて足下の孤独に気付くまで。


世間と自分とが二分されるような感覚。

今の僕には遠い、

"普通な"

幸せを見せつけられて、
数ある悪態のうち最悪のものが口に出掛かかった。