感傷的になってえり好みした道だけを歩いてきたのに、

僕はいつの間にか商店街の賑いの中へ出て来てしまっていた。


東京の裏道は枯れ木の枝のようだ。

僕の田舎の裏道は、太い幹のようだった。


必要であれば茂った葉の葉脈へカーブする事も出来たし、

チャンスの風が吹けば別の場所へ飛んで行く事も出来た。

そこでは目的地があいまいな代わりに手段が多かった。

この街は目的そのものだ。