先生がいた。

クラスが違う美由と廊下で別れ、自分の教室に入る。

「美紀おっはよ~!」

この子は諸里千鶴(モロザトチヅル)。
小学校から一緒で私を慕ってくれる可愛い子。見た目も二重で、小さくてショートカットで可愛らしいんだけど、男前な性格をしているのが少し残念。

「千鶴おはよ。私たちもう2年生だね!」
「うん!あ~クラスどうなっちゃうんだろ!?」

私たちは小学校の3年生からずっと同じクラスで、離れ離れなんて想像できなかった。

「そういえば、高崎センセどっか行っちゃうの?」

千鶴はソフトボール部に入っていて、高崎先生が顧問だった。
私も相当悩んでソフト部に入ろうかと思ったけど、焼けるのが嫌で結局文化部に入った。

「あぁ先生ね。分からないんだよね。でも絶対どこにも行かないよ。」
「え、何で言い切れるの?」
「だってどっかに行くの嫌だもん。ただ信じてるだけ。あぁ~~でも分かんない!」

千鶴は素直に高崎を慕っていて、そんな事をさらりと言える。恋心がないからこそ言えるんだろうな。羨ましい。