2000年4月。



青葉東高校の門をくぐり


晴れて高校生になった私。


酒井 香織。16歳。



…なんて、

高校生になったからって

私の毎日が何か変わるわけじゃないけど。



退屈でしょうがない。



何年も前から続け、
慣れすぎた
同じリズムの生活も。


毎授業聞く、
くだらない
先生の世間話も。


休み時間、
別に面白くもない話に
わざとらしく乗って、
盛り上げなきゃならない
友達の暗黙のルールも。



そーいうのの、
すべてに嫌気がさす。



顔は笑ってても、
言葉では私の味方をしてても、

裏では何考えてるか
分からない人達も。



私の両親も
そうだった。



母親の腹違いの
娘である私。

父親の愛人の
娘である私。



それでもなぜか
引き取ったくせに、

私が物心ついた頃からすでに、

私を見る目は
まるで氷のようだった。



誇りが欲しかったのか、

親戚とか近所の前では

いらない嘘の笑顔をふりまいて、

でっちあげた私の自慢を
満足そうに話していた。