京子の家庭は数年前から冷えきっていた。

昔は母も父も一緒で、笑いが絶えない家だったのだが…。
数年前、父親の帰りがだんだんと遅くなりはじめ、それが浮気によるものだと、京子も彼女の母親も、とうの昔に気付いていた。
母は、昔から父には強く出られず、父も「女は家を守るもの」と考える人だったので、母や京子がどんな顔をしても、意に介そうとはしない。




それが、京子にとっては苦痛で仕方がないことであった。