「…君は真面目すぎますよ」

隣に座る松下がそう呟くと、京子が顔を上げた。

「山科さんの事が好きで、なのにこのまま何も言わないつもりですか？」

松下は京子を真っ直ぐに見つめてきた。
真剣な声で、真剣な表情で…。
だから…、京子も偽りのない言葉を彼に返す。

「…言えません」

「何故？」

「言えば…きっと麻美は傷つく」