「昨日は、よくも逃げてくれたな。」



自分でも吃驚することを、俺は口にしていた。



「逃げたって……。あんたが悪いんでしょ!!」



コイツ……

反応が顔に出過ぎ。



「プッ。」



つい、笑ってしまった。



「ずいぶん威勢がいいじゃねぇか。それに俺はあんたじゃねぇ。黒田慶輔だ!!」

「はぁ?ってか、名前聞いてないし!!」

「まぁ、慶輔って呼べよな。俺はあんたのことは、真凜って呼ぶわ。」

「ってか、勝手に呼び捨てにすんな!」

「まぁ、いい。あ、それと…真凜は今日から俺ん家に住んでもらうから。」

「はぁ?何それ聞いてないしィ!」



プゥと頬を膨らます真凜の顔を見て、思わずニヤけそうになった。



「まぁ、お前に拒否権はねぇ!」



ほんと、コイツはいろんな顔をしやがる……。



「ということで、真凜の秘書には悪いが、俺と来てもらうぜ?」

「え?ちょっと!離しなさいよ~!!」



ぜってぇ、離してやんねぇ。