15歳、春。

桜が散る。
新学期の始まり。

新しいクラスメイト。
新しい、教室。
新しい担任。


新しい恋も…

始まったらいいな。


「美ー菜っ!!」

後ろから背中をどんと押された。

「きゃっ!」

後ろを振り返ると、愛がニコッと笑っている。

「あっ、愛!
いきなり驚くじゃんかー!」
「だって、新学期には
これくらいのサプライズも必要でしょ?」
「なっ!」


愛は中学に入って知り合った友達。

喧嘩もいっぱいしたけど、今ではそれもいい思い出。

その分、絆が深まったような気がする。

「いいよねー、愛は。」
「なんで?」
「なんでって、彼氏いるじゃーん?」
「あー。樹の事?」

愛は、2年の終わりに同じクラスだった樹(イツキ)に告白されて、付き合い始めた。

2年になってから、
突然付き合いだす子が増えた。
もっとも私は、フリーだけどね。


「あー。アタシも彼氏ほしいなー。」
「ま、そのうちできるでしょ。」
「うっ。
出来なかったらどうすんのよー!」

こうやって、半分ふざけながら登校するのが私の日課。


(彼氏…か。
私は、誰かと付き合えるのかなー…)

私は、ふと思った。

でも、私の


恋物語は


まぎれもなく


ここから始まる。



私の、

忘れられない

大好きな人────