だから嫌だったんだ、関谷さんの方を向くの。


なんとか未だに涙は油断したら出てきそうだけど


呼吸が正常に戻ったあたしは、関谷さんが来る前に、と急いで取れかけたメイクを戻した。



ただ、泣いた後が消えても目は腫れていて。


なんとかメイクで誤魔化そうとしたけれどあたしの技術では無理で。


仕方なく前髪で少し隠して関谷さんと目を合わせないようにしようと思っていたのに。


いとも簡単に見破られてしまった。


「……気にしなくて良いって言ってもやっぱ気にするよな」



ポンポン、と前髪を避けた手で頭を撫でてくれる関谷さん。



その優しさにまた我慢している涙が出てきそうになる。

一番最初におじさんに言われた事を気にしてると思っている関谷さん。