ここから少し歩くだけだし、あたしのアパートの近くは細い路地だから。


ここで。


「料理、ご馳走様でした。何かすみません。何も役に立てなくて」



シートベルトを外して、車から降りる前に運転席の三浦さんの方を向き頭を下げる。


グロス選びだって、大して役に立てなかったのに料理まで奢ってもらって。



本当に申し訳ない……


「いや、すごく助かりました。
仕事で忙しいのにせっかくの休日を俺のせいで潰してしまってすみません」



「や、大丈夫ですっ!美味しい料理食べたんで、また明日から仕事頑張れます!」




そう言って笑ったあたしを見て、笑った三浦さん。



「……あ、そうだ」

そして思い出したように声を溢しジャケットのポケットへと手を突っ込む。