……落とそう。

やっぱりあたしはベージュの方が落ち着く。



さっき貰ったコットンで塗ってもらったピンクのグロスを落とし、


ベージュの試供品を借りて塗ろう……そう思いコットンを唇へと運ぼうとすると



「……ダメ」


右手を三浦さんに捕まれる。


目を見開いたあたしに三浦さんはニッコリ微笑んでいて。


「せっかく似合っているんですから、今日1日はこれでいてください」



「え、でもっ」



「似合ってますから。本当に。せっかく塗ったのに勿体ないでしょう?」

…でも。


まだ何か言おうと口を開きかけたあたしに


「……本当」