そう言って薄いピンク色のグロスがあたしの唇に塗られていく。


「はい、良いですよ」



グロスが唇から離れたと同時に鏡を見る。



う……似合わない。



普段塗ることが無い色で見慣れていないのもあるかもしれないけれど、何か変じゃない?



「ん、良くないですか?」



ぬっと三浦さんが顔を覗き込んできて、思わずあたしは後ろに顔を反らす。



三浦さんの視線はあたしの唇へ。


似合わないと思うのに……。



「っ……すみません、もう一個の方お願いします!」

あまりの恥ずかしさに顔を背けて店員さんにお願いする。



「よろしいですか?」