……まだ約束の時間の5分前なのに。
あたしが早く起きすぎちゃって、どんなものが良いか雑誌とか見てたけど
居たたまれなくなって早めに家を出てきちゃっただけだから……
「や、全然待ってないですよ」
「……ここに来て30分は経ってる癖に」
あたしが言った言葉に大して後ろで小さく呟く愛子さん。
それに「おい」と久遠さんが制止してくれた。
幸い、小さい声で呟いてくれたので三浦さんの元までは聞こえなかったみたい。
「そうですか……すみません。では、行きましょうか」
そう言ってニッコリ笑う三浦さん。
ドアの所で待ってくれている三浦さんの元へ行こうと立ち上がる。
「あ、椿ちゃん!」
ドアを開けてくれた三浦さんに軽く頭を下げて外へ出ようとした時。
背後から愛子さんに大きな声で呼ばれて振り返る。
「……ブーツ。滑って転けないようにね?」
「っつ!滑りません!転けませんっ!!」



