それから三浦さんとはカフェで会う度に何か話すようになった。


あたしはいつも仕事をしていたけれど、三浦さんはパソコンを開いて何かをしていたり、読書をしていたり。


「……椿ちゃんは美容関係のお仕事をしているんですか?」



ふーっと息を吐きながら後ろに体を反らした三浦さんは、あたしの机の上に広げたノートを見て聞いてきた。


「……スタイリストとか」


当てるようにポツリ、と言った三浦さんに、あたしは首を左右に振る。


「違いますよ、美容関係のって言っても化粧品会社に勤めてるってだけです」


雑誌を広げていたから、スタイリストって思ったのかな?

これは、今年の流行りのファッションに合わせてどんな色のコスメが売れるか考える為の物。



流行る色に合わせてメイクに使う色も変わってくるから。

「化粧品会社……ですが。じゃあ、コスメとかには詳しいですよね?」



「?……まぁ、一応は……あ、でも自分のセンスは全く何ですが……」


化粧品会社に勤めている…と言っても自分のセンスがある訳でもないし、メイクが上手って訳でもない。


更に言えば仕事もまだまだ新人で大した事させてもらえてないし。