「小村……下は?」


「椿です」


「椿ちゃん……ね」



あたしの名前を頭にインプットしてくれたらしい彼は頷いて会話を終了させる。


ちょっと待って!





あたし、名前聞いてない……。


「あの……」


カタカタと何やら入力しだしたので、聞き辛いけど名前位知りたい。

控えめに聞いてみると「三浦と言います」とパソコンに向かったまま教えてくれた。


三浦さん……ね。




それ以上会話は無く、あたしはさっき受け取った紙の束を今度は落とさないようにしっかり置き直して少し冷めてしまった抹茶ラテに口付けた。