「あんた、振り落とすよ!?」


「わぁあ…
ごめんごめん!!」


わざと蛇行運転すると、露木は慌てて私にしがみついた。


露木に言われなくたって、ちゃんと彼氏くらい作りますよ!


作りますとも…


作り…


オミの顔が思い浮かんだ。


「もう!!
露木が余計なこというから!!」


私が言うと、背後で露木が笑っている気配がした。


家帰ったら覚えてなさい!?


私は心の中で叫びながら、自転車を漕いだ。


通り過ぎる家から、夕食の気配が漂っていた。


「お腹すいたぁ!!」


露木も感じたんだろう、叫ぶように言った。


「早く帰ってご飯食べようね♪」


可愛い弟の為に、さっきより早く自転車を漕いだ。


夜の気配が濃くなっていた。