「あら、起きちゃいました?」
「血流操作されて吸血されれば誰だって起きる。」

男は自分の上に跨っていた少女を退かし、ゆっくりと立ち上がった。

「…さて、リーズ。今日はどんな仕事だ?」
「む。そうですね、また人間です。今度はどうしようもない屑ですよ?」


少女は胸元のポケットから一枚の小さな紙を取り出し、主へと差し出す。


「…茂那 泰三(28)罪状:30名の少年少女を猟銃で射殺。魂の汚染lvは3、獄落ちは確定…ふむ。まぁ悪くない仕事だな。」

そう言って男は受け取った紙を丸めて口に放り込み、飲み込んだ。



「…さて、行くかリーズ。」
呑気に欠伸をしながら、メイドであり相棒でもある少女に話しかける。

「そうですね、ディアボロ様。」
少女は何の変哲も無い西洋刀を腰にかけ、主の後を歩く。



冥王。
それは獄落ちする悪しき魂を、早急に処分する案内人。

死を更なる死と絶望で塗り替える災厄の魔。

それが此の若き冥王、アルロメオ・ディアボロ・グラボラスの正体である。