あの日は――そう。こんな日の事です。 雲が月を覆っていた。 学校と私の家は離れていましてね、バスで一時間ほど掛かるのです。 だからいつも決まってうたた寝をしていた。 学校帰りのバスの一番後ろの窓側の席。 それが私の特等席です。 私はその日も何時もと変わらずに、学校が終わるとバス停に向かいました。 時間より少し遅れてやってきた見慣れたバスに乗り込むと、ガランとしていて、運転手以外、人一人居ない車内がそこにある。 そのはずだったのですがね。