「斉藤」 いやに低い声が体育館に響く。 その声は、昨日この頭上で聞いた声…… そのもので。 あたしのことではありませんように…と振り返らないあたしを、次の言葉が許さなかった。 「斉藤浅葱。こい」 梨子は、目を見開きながらもニヤニヤとあたしを見下ろす。 ……あ、ちなみに 梨子はバスケ部らしく165センチ…いや、それ以上かもしれない。 ハァ…とため息をついて、あたしは藤沢部長の後についていった。