「へえ、メイリアじゃないか」
かけられた声に振り仰ぐと、15、6くらいのほっそりとした少年がいた。
メイリアの近所に住む一つ年上の少年クレヴァスである。
<氷炎の民>特有の銀の髪は短く切りそろえられ、魔火の光をきらきらと反射していた。
濃い目の灰色の上着に黒いズボン。
年中、泥の中を転げまわって遊ぶような活動的な少年である彼は、いつもはあちこち刷れ切れ、泥汚れが染みついたような服を着ているが、さすがに今日はこざっぱりとした格好をさせられており、見違えるほどである。
「えーと、だれだっけ?」
首をかしげ、すっ呆けるメイリアにクレヴァスは憎まれ口を叩く。
「あのな、病気で頭までやられたのかよ」
衣装は変わっても、彼のやんちゃぶりは健在だった。
しかし、勝気なメイリアも負けてはいない。
「そんなわけないでしょ、クレヴァス」
「なんだ、わかってんじゃん」
「当たり前でしょ」
「ったく、可愛くないよな、お前」
「悪かったわね」
青い瞳をまっすぐにクレヴァスに向けるメイリアに、彼はまぶしげに眼を細めた。
「まあ、でも、今日はけっこう綺麗じゃん」
「それは、どうもありがとう」
クレヴァスは顎で背後を指し示す。広場ではすでに音楽が流れ始め、幾組かの男女が踊りを始めていた。
「な、踊らないかい?」
少年に誘われて、メイリアは眉を顰める。
「踊り? でも」
本来、活発なメイリアは踊りは得意だが、病後でもあることからまだ止められてもいる。それに、できれば最初にレジアスと踊りたかった。
「いいじゃないか、お前、踊り上手いし。もうすっかりいいんだろう」
言葉と同時に手を伸ばす。
と。
「だめっ!」
伸ばしかけた手を声とともに払われる。
そこでクレヴァスはメイリアとともに居た小さな少年に気づきひるむ。
いつになく綺麗なメイリアに彼の視線は奪われ、側に寄り添うサレンスに気づいていなかった。
かけられた声に振り仰ぐと、15、6くらいのほっそりとした少年がいた。
メイリアの近所に住む一つ年上の少年クレヴァスである。
<氷炎の民>特有の銀の髪は短く切りそろえられ、魔火の光をきらきらと反射していた。
濃い目の灰色の上着に黒いズボン。
年中、泥の中を転げまわって遊ぶような活動的な少年である彼は、いつもはあちこち刷れ切れ、泥汚れが染みついたような服を着ているが、さすがに今日はこざっぱりとした格好をさせられており、見違えるほどである。
「えーと、だれだっけ?」
首をかしげ、すっ呆けるメイリアにクレヴァスは憎まれ口を叩く。
「あのな、病気で頭までやられたのかよ」
衣装は変わっても、彼のやんちゃぶりは健在だった。
しかし、勝気なメイリアも負けてはいない。
「そんなわけないでしょ、クレヴァス」
「なんだ、わかってんじゃん」
「当たり前でしょ」
「ったく、可愛くないよな、お前」
「悪かったわね」
青い瞳をまっすぐにクレヴァスに向けるメイリアに、彼はまぶしげに眼を細めた。
「まあ、でも、今日はけっこう綺麗じゃん」
「それは、どうもありがとう」
クレヴァスは顎で背後を指し示す。広場ではすでに音楽が流れ始め、幾組かの男女が踊りを始めていた。
「な、踊らないかい?」
少年に誘われて、メイリアは眉を顰める。
「踊り? でも」
本来、活発なメイリアは踊りは得意だが、病後でもあることからまだ止められてもいる。それに、できれば最初にレジアスと踊りたかった。
「いいじゃないか、お前、踊り上手いし。もうすっかりいいんだろう」
言葉と同時に手を伸ばす。
と。
「だめっ!」
伸ばしかけた手を声とともに払われる。
そこでクレヴァスはメイリアとともに居た小さな少年に気づきひるむ。
いつになく綺麗なメイリアに彼の視線は奪われ、側に寄り添うサレンスに気づいていなかった。

