王国ファンタジア【氷炎の民】外伝~新生~

 メイリアの母親に中に入るように勧められたレジアスだったが、それを固辞して玄関先でいつものように彼は待ってきた。

 と、がちゃりとドアが開く。

 サレンスがエスコートするようにして出てきたメイリアを見てレジアスは、一瞬固まった。

 綺麗だった。
 まぶしいほどに。
 子どもだとばかり思っていたが、ほのかに上気した頬は薄く色づいて、桜色の唇がなまめかしくも感じられる。

 胸元も飾るフリルを通してもふたつの膨らみがわかる。
 愁いを帯びた青い瞳と視線が合いそうになって、あわてて眼をそらす。

 身体の奥に火がついたように熱く、心臓が鼓動を早めた。
 力が暴走でも始めたかと思うほどだった。

「元気そうですね」

 動揺を隠そうと出た何とも間抜けな言葉に、メイリアは一瞬眉を顰めたようだが、きれいにレジアスを無視する。

「行こう、サリィちゃん」

 銀髪の少年の手を掴んで、レジアスの側を通り抜けていく。
 髪につけられた白い花の甘い匂いが彼の鼻腔をくすぐった。