メイリアがサレンスと出会ったのは、サレンスがようやく外歩きをし出した頃で、その時から彼は飛び切り愛らしい子どもだったが、メイリアの注意を引いたのは、愛らしくともまだ足元の覚束ない幼児の方ではなく彼の側についていた少年の方だった。

 ほとんど白い近い銀髪でふわふわの癖毛をした少年は、にっこりとメイリアに笑いかけた。たぶん、その時から彼、レジアスに心を魅かれたのだ。

 メイリアにはレジアスと同年配の兄がいたが、白銀の髪の少年の柔らかな物腰と物言いはその兄とはまったく違っていて、ずっと大人にも見えた。

 サレンスと遊んでくれとお願いされたようだったが、少年が自分に話しかける言葉の細部はもう忘れてしまっても、その優しい響きのある声にうっとりと耳を傾けたことは覚えている。

 その声でもっと自分に話しかけてくれないかとも思ったのだ。

 サレンスをかまえばレジアスの気を引けたし、あっと言う間に自分に懐いてきたサレンスを可愛く思わないわけがない。

 けれど、それでも少年の注意は自分より、もっぱら小さなサレンスの方ばかりに向いていて、それがおもしろくはなかった。

 だから、メイリアは今ではレジアスに面と向かうとつんけんとした態度を心ならずも取ってしまう。

 男の子であるサレンスを女の子のように扱うのは、単にサレンスが女の子のように可愛いというだけではなく、レジアスへの意趣返しでもあったのだ。