「礼…いい加減何か喋ってよ」 もう開いた口がふさがらなかった。 だって、全然優介君から受験生オーラが出てなかったんだもん。 「礼…」 “ぎゅっ” 背中から伝わる優介君の温もり。 「…ごめんな…言わなくて…」 「……ううん、あたしがいけないの…勝手に勘違いしてたから…」 「きっとこれからそんなに会えなくなると思ったから…礼の、思い出に…」 「…うん…ありがとう…」 あたし達は静かな町の道の真ん中でキスを交わした。