あたしが立ち上がった拍子に床に落ちた問題集を、柳が拾い上げ、あたしに差し出した。


「ん。やり直し」


涼しい顔でサラッと言われたけど、あたしはその問題集を受け取らなかった。


代わりに柳をじっと見つめる。


「…目的は何?」


「はい?」


柳は眉をひそめたけど、そんなの演技に決まってる。


だってこんな性格のやつが、あたしの世話係なんて。


絶対、何か企んでるに決まってる!!


「お金が目的?それとも…まさかあたしの婿養子になって地位をもらおうって魂胆じゃ」


「待て待て、ストップ」


柳は問題集であたしの口を塞いで言葉を遮ると、呆れたようにあたしを見た。


「お前ひねくれすぎだろ。俺は別に、そんなのが欲しいわけじゃない」


ひねくれてるとか言われたけど、そこはぐっと堪える。


「じゃあ…何だっていうの」


疑いの眼差しを向けると、柳は困ったように笑った。