柳に促されるまでもなく、あたしは封を開けていた。


…正確には、もう封は破られていたけど。


「これって…」


あたしはざっと手紙に目を通す。



―――――親愛なる王ノ宮殿


近日、我が屋敷で催される舞踏会に、参加頂きたく願います。


日頃の感謝も込めて、招待状を送らせて頂きました。


詳細は別紙に記載してありますので、ご確認下さい。


良いお返事を期待しております。


―――――池田 光



最後の名前を見た瞬間、あたしは手紙を握り潰した。


「…お嬢様、」


「問題ないはずよ。パパはもう読んだんでしょ?…あんたも」


既に開けられていた封が、その証。


柳が読んだかどうかは、あたしの勘だけど。



柳はにこりと笑うと、「正解」と言って、胸元のポケットから何かを取り出す。


それが何かが分かると、あたしは思いっきり顔をしかめた。