でも、もうはなして欲しいなんて思わなかった。


柳があたしを想ってくれていることが、その温もりから伝わってくるから。


…なんて、そんなこと、口に出しては言えないけど。


「―――咲良」


柳があたしの顎をそっと持ち上げた。


その眼差しに吸い込まれるように、あたしと柳の距離が縮まっていく。


そしてそのまま、キスを交わした。


「…ん…」


触れるだけの優しいキス。


自然と瞑っていた瞼を持ち上げると、そこには微笑む柳がいた。


「…大事にしたかったんだ。でも、もう限界かな」


「へ?限界って、」


何が?と訊こうとしたけど、その言葉を発する前に、あたしの唇は柳に奪われていた。


「……っ、ん…!」


今度は、情熱的な激しいキス。


その熱で、全身が溶けてしまいそうだった。



何度も何度も、躊躇うことなく落ちてくるキス。


幸せすぎて、合間で呼吸をする時間すらもったいなく感じた。