朝、起きてすぐ頭に浮かんだのは、あなたの顔でした。



「―――――柳っ!」



勢いよく開いたのは、柳の部屋の扉。


…違う。柳の部屋"だった"。


「……何、で…?」


そこにはもう、柳の面影はない。


部屋には、何1つなかった。

家具も…柳自身も。


「………っ、」


嫌な予感がしたの。


昨日の夢は、夢じゃないんじゃないか、って。



起きたら、身体にブランケットが掛けてあって。


花丸が書かれた大きな紙が、あたしの目の前にあった。


だったらあの優しいキスも、夢じゃない…?


「~~~バカ!」


あたしは花丸の紙を握りしめると、乱暴に部屋の扉を閉めた。


ちょうどその時、


「―――…咲良」


パパが、あたしの名前を呼んだ。


「パパ…」


ちょうど良かった。


これから、パパに会いに行こうと思ってたから。