午前0時のシンデレラ


…あたし、決めたの。


柳が何も言わないなら、あたしも何も言わない。


柳が何事もなかったように振る舞うなら、あたしもそうしよう、って。



何よりも今、柳がいなくなることが嫌。


あたしに魔法をかけてくれるのは、柳しかいないから。


「だーっ!ここが違うって何回言ったら分かるんだよ!」


「…え?ごめん聞いてなかった」


「…泣くぞ」


このままでいい。


このままの関係が、ずっと続けばいい。


そんな考え、甘いって分かってるのに。


「はー…休憩すっか」


「賛成!」


「返事早っ!」


…なのに、この笑顔を失いたくない。


「……咲良」


お茶を淹れながら、柳が不意にあたしを呼んだ。


まだ慣れない呼び捨てに、心臓が跳ねる。


「何?」


平静を装ってそう訊くと、柳はお茶を淹れる手を止め、あたしを見た。