何だったんだろう。
柳の言葉の意味…
『―――お前が、俺の全てだから』
思い出して、あたしは顔をしかめた。
いつからあたしは、柳の全てになったのよ。
まだ会って1ヶ月も経ってないのに。
「…おい、あれほど解説したのに分かんないのか?」
あたしは知らない間に、ペンを顎に当てていた。
どうやら柳は、あたしが問題を解けずに考え込んでいると思ったらしい。
「…分かんない」
ポツリと呟くと、柳はあからさまにため息をつく。
「また説明してやっから、どこが…」
「あたしが分かんないのは、あんたよ」
その顔をじっと見上げると、柳は瞳を丸くしてあたしを見た。
その瞳を逃さないように、しっかりと見据えたまま言葉を続ける。
「…あたし、柳のこと何も知らないんだよ」
柳の家、家族、歩んできた人生。
あたしの世話係になったことさえ、納得がいく理由が分からない。

