午前0時のシンデレラ


あんたがバカだから、涙腺緩んできたじゃない。


さっきのこと、思い出しちゃったじゃない。


「もう、放っといてよ…!何でそんなに踏み込んでくるの?」


柳が気付かないフリをしてくれたら、それですんだのに。


そしたら、笑っていられたのに…


「…お前が」


柳が小さく呟くから、あたしは泣かないように唇を噛みしめて、次の言葉を待った。


いつか見たような、悲しそうな表情を浮かべ、柳が口を開いた。



「―――お前が、俺の全てだから」



時が、止まったような気がした。


木々のざわめきも、風の音も、鳥の囀りも。


全てが静寂に包まれたから。


「―――え…?」


あたしは、そう言うことしかできなかった。


柳の言葉の意味も、その眼差しに映るものも、あたしにはわからなかったから。


ただ…柳の表情は、苦しそうで、泣き出しそうに思えた。