空の大切なもの


「……サンキュ、二人とも」


俺は、二人に聞こえないように小さく呟いた。


「ん? うわっ!?シン、ソラが一人でニヤニヤしてる~」

「なっ!ニヤニヤなんかしてないって!」

「ソラ、気持ち悪いぞ」

「だから、してないって!」


カズは、アハハと笑い、シンは本に目を向けたまま俺をからかう。


まったく……

でも、本当に二人がいてくれてよかった。
さっきまで俺のなかで渦巻いていた嫌な感覚がサァーっとどこかに行ってしまった。


父さん、母さん、ミナ……

俺には、こんなに優しい友達がいるよ……