空の大切なもの


シンは、本が好きで放課後とかによく読んでいる姿を見かける。
クラスが一緒になって初めて会ったときも本を読んでいた。漫画しか読んだことがなかった俺には、黙々と本を読むシンの姿が不思議で『本ってそんなにおもしろい?』って聞いたことがある。
俺がそう聞くとシンは、読んでいる本から目を離して、俺のほうを見て


「ああ、おもしろいよ。読み進めていくとさ、どんどんその本の世界に引きずり込まれていく感じとか、自分にはない感情を見つけられたりするところとか、すごくおもしろいんだ。」



そうやって本のことを話すシンがなんだかかっこよくて、俺は初めて漫画以外の本を読んだ。


読みやすいファンタジーの小説をシンが教えてくれた。


読んでいると、シンが言っていたように本の世界に引きずり込まれた。
俺は、夢中になって一日でその小説を読み終えた。



それから、俺は今もときどきシンにいい本を教えてもらっては読んでいる